【旅する読書】④ じっくり味わう物語の旅へ──長編小説・長編漫画おすすめ3選

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はじめに:もっと旅したい
日帰りのお手軽な旅もいいけど、長期でそこの文化にどっぷり浸かる旅も楽しいよな〜。

そんなナナバさんに、今回は長い旅の物語をご紹介します!

おっ、いいねいいね〜。
長い旅ならではの魅力ってあるよね〜。

はい。登場人物と一緒に、いろんな場所をめぐって、出会って、別れて──
気がつけば、自分まで少し変わっているような……そんな旅をご案内します。

おっけ〜。
人生を変える旅にしゅっぱ〜つ!

長く旅する物語
大きな冒険から、静かな放浪、文化を味わう旅まで。
今週は、長編小説と長編漫画で「物語の中を旅する」読書体験をご紹介します。
一緒に歩くからこそ、味わえる風景がある。
一緒に過ごす時間が長いからこそ、心に残る出会いがある。
読み終えたとき、きっと少し遠くまで歩いたような気持ちになれる──
そんなシリーズを3つお届けします。
- 指輪物語
- 辺境の老騎士
- 乙嫁語り
さぁ、人生を変える旅へ出かけましょう。
『指輪物語』
『指輪物語』J.R.R.トールキン著, 評論社, 2024
あらすじ
世界を揺るがす「指輪」をめぐる、壮大な旅の物語。
ホビット族の青年フロドは、故郷で穏やかな日々を送っていました。
けれどある日、養父から受け継いだ“指輪”が、かつて世界を滅ぼしかけた恐るべき魔力を秘めていると知らされます。
「このまま持っていてはいけない」
小さくて、力もない自分が、この指輪を遠く離れた“滅びの山”まで運ばなければならない。
仲間たちとともに、フロドは世界を救う旅に出ます。
緑豊かな村から始まり、精霊の森、炎の山、失われた王国──
種族も文化も異なる世界を横断しながら描かれるのは、仲間との絆と、勇気と、希望の物語。
ファンタジーというジャンルを築いた伝説的作品であり、
映画『ロード・オブ・ザ・リング』三部作としても映像化されています。
緻密な世界観に引き込まれる
『指輪物語』の最大の魅力は、緻密に作り込まれた世界観にあります。
登場するキャラクターや独自の言語、地形や文化に至るまで、すべてに一貫したリアリティが息づいています。
その中で紡がれる物語は、どこか遠い世界のはずなのに、不思議な説得力と深みがあり、読むほどに引き込まれていきます。
圧倒的な映像美の【映画版】
私は映画で『指輪物語』を知ったのですが、その圧倒的な映像美に衝撃を受けました。
小説の壮大な世界観が、映画『ロード・オブ・ザ・リング』では見事に再現されています。
物語を視覚で味わいたい方には、映画版もぜひおすすめです。
『辺境の老騎士』
『辺境の老騎士』支援BIS著, KADOKAWA ,2015-2019
あらすじ
老騎士、最後の自由な旅へ。目的は──美味しいものを食べること。
かつて“戦鬼”と呼ばれた老騎士・バルド。
長年仕えた主君が亡くなり、役目を終えた彼は、一つの願いを胸に旅に出ます。
それは、生きているあいだに、美味しいものを味わい尽くすこと。
静かなユーモアと優しさ、旅先で出会う人々とのやりとり──
そこに描かれるのは、戦いよりも“生き方”をめぐる物語です。
人生の黄昏時の静謐さと冒険心が合わさった、噛みしめるほどに味が出る“人生の旅”。
静かな感動が、心にじんわりと広がる一冊です。
香りや食感まで感じられる食事風景
『辺境の老騎士』では、美食や食材の描写が物語の大きな魅力のひとつになっています。
作中の食事シーンは、バルドの旅の「ご褒美」としてだけでなく、異世界の文化や人々の価値観、温もりを感じさせてくれます。
香ばしい匂い、湯気の立つスープの温かさ、噛んだときの食感──
まるで自分もその場で一緒に食事をしているかのように、五感に訴えるリアルさがあります。
読むたびに、お腹がすいてしまう一冊です。
世界観をより深めてくれる漫画版
『辺境の老騎士』には漫画版もあり、小説で描かれた世界や食事、風景が丁寧にビジュアル化されています。
バルドの穏やかな表情や、旅先の素朴な料理の湯気まで感じられるような描写が魅力。
文章では想像で味わっていた場面を、絵と一緒にもう一度旅することができます。
『乙嫁語り』
『乙嫁語り』森薫著, KADOKAWA, 2009-
あらすじ
中央アジアの風が吹く、大地と暮らしと人の物語。
舞台は19世紀の中央アジア。
遊牧民や定住民が交差するこの地域で、文化や風習の違いを越えて人々が生きていく姿を、精緻な筆致で描き出す物語です。
物語のはじまりは、20歳の女性・アミルと、8歳年下の少年・カルルクの結婚。
年齢も文化も異なるふたりが、少しずつ心を通わせていく様子を軸に、
それぞれの土地に生きる“乙嫁(花嫁)”たちの物語が描かれていきます。
圧倒的な画力で再現された刺繍や建築、料理、衣装──
読むたびに“暮らしの旅”をしているような、静かで豊かな読書体験が味わえます。
魅力的な乙嫁たち
『乙嫁語り』には、アミルとカルルクだけでなく、
それぞれの土地や文化の中で生きる“乙嫁(花嫁)”たちが登場します。
弓の達人であるアミル、双子でおてんばなライラとレイリ、
芯の強いタラス、柳のようなアニス──
どの乙嫁も個性豊かで、自分の生き方を模索しながら、
家族や仲間と向き合う姿が丁寧に描かれています。
華やかなだけではなく、時に悩み、揺れながらもたくましく歩む彼女たちの姿に、
きっと誰かの人生が重なるはずです。
まとめ
いや〜〜今回は旅も長かった〜!
でもそのぶん、いろんな出会いがあったな〜。

はい。長い物語って、出会う人や気づきが多くて……
読み終えるころには、自分もちょっと変わったような気がします。

ポンヌちゃんも旅してたね〜、フロドたちと、バルドのじーさまと、乙嫁さんたちと。

……はい。長かったけれど、ちゃんと歩ききった感じがして。いまは、心がちょっとあたたかいです。

いいねぇ〜。なんか、長編って“読んだ!”って感じあるよね〜。
時間かけて付き合ったぶん、名残惜しくなっちゃうというか。

そうですね。物語の中の誰かが、ちゃんと生きてた気がして……さよならが少しさみしくなります。

でもさ、旅が終わったら、また次の旅が始まるんだよ〜?
……ってことで、次はどこ行こっか〜?

ふふっ。また、素敵な旅の本を見つけにいきましょうね。

長い物語を旅して
ここまで読んでいただいてありがとうございました!
短い旅もいいけれど、
時間をかけて歩く物語には、そのぶんだけ深く心に残る風景があります。
仲間とともに進む冒険、
静かに味わう人生の余白、
知らない文化にふれる暮らし──。
長編小説や漫画は、ページをめくるたびに少しずつ世界が広がり、
気づけば、自分の中にも旅の記憶が残っている。
そんな読書体験が、ここにはあります。
ゆっくりでもいい。立ち止まってもいい。
あなたのペースで、長い旅の物語を味わってみてください。

次回予告:まとめ座談会
ナナバ、ポンヌ、そして仲間たちで“旅する読書”を振り返る座談会をお届けします。
▷7月31日(木)9時公開

参考文献
『指輪物語』J.R.R.トールキン著, 評論社, 2024
『辺境の老騎士』支援BIS著, KADOKAWA ,2015-2019
『乙嫁語り』森薫著, KADOKAWA, 2009-