【ぽかぽかマネー読本】③「幸せを感じるお金の使い方」5つのヒント|『幸せをお金で買う5つの授業』から学ぶやさしいマネー術

※この記事にはアフィリエイトリンクを含みます
▼6月特集紹介▼

はじめに:幸せはお金で買える?
なあ、ポンヌちゃん。よく“お金で幸せは買えない”って言うだろ。

そうですね。聞いたことがあります。

でも現実はさ、“お金があればなぁ”って思う場面、正直たくさんあるんだよな。
家族旅行、子どもの学費、仕事の帰りにちょっといい弁当買うか迷うとかさ。

スカイさん、もしかしたらそれって、“お金で幸せは買えない”んじゃなくて、“幸せにつながる使い方を知らない”だけかもしれません。

……使い方?

今日ご紹介するのは、“どんなことにお金を使うと人は幸せを感じやすいか”を、研究と実例で教えてくれる本なんです。

そんなことを研究している人がいるのか。……でもたしかに、同じお金でも“使ってよかった”って思ったり“失敗したな”って感じること、ある気がするな。

大事なお金のことなので、どんなふうに使うと自分にとって幸せなのか、いっしょに考えてみましょう!

紹介する本:「幸せをお金で買う」5つの授業
『「幸せをお金で買う」5つの授業』, エリザベス・ダン著/マイケル・ノートン著/古川奈々子訳, KADOKAWA, 2014
著者紹介
エリザベス・ダンさん
カナダの著名な社会心理学者で、ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia, UBC)心理学部の教授。
「人はどんなときに幸せを感じるのか」「お金をどう使うと幸福感が高まるのか」といったテーマを、科学的に研究しています。科学雑誌『サイエンス』をはじめ、さまざまなメディアで紹介されており、TEDなどでの講演も行っています。
マイケル・ノートンさん
ハーバード・ビジネススクールのマーケティング学准教授。
お金の使い方と幸せの関係について、わかりやすく話すことで有名で、世界的に注目されています。TEDの講演や新聞の特集でも紹介されていて、幸福とお金の使い方に関する研究で国際的に評価されています。
古川奈々子(ふるかわ ななこ)さん
主にノンフィクションやビジネス書、科学書などの翻訳を手がけており、幅広い分野の著名な洋書を日本語に訳しています。
東京医科歯科大学歯学部を卒業しており、医学系のバックグラウンドを活かしつつ、分かりやすく丁寧な翻訳をされています。
こんな人におすすめ
- お金を使ったあと、「これでよかったのかな……」と後悔することがある
- 節約も大事だけど、“ちゃんと幸せを感じられる使い方”がしたい
- 「この買い物、よかったな」と思える瞬間を、もっと増やしたい
- お金の不安を少しでも軽くして、自分や誰かの笑顔につながる使い方を考えてみたい
「5つの幸せなお金の使い方」
『幸せをお金で買う5つの授業』では、「どんなお金の使い方をすれば、より幸せを感じやすくなるのか?」について、心理学や経済学の研究をもとに、5つの考え方を教えてくれます。
- ①経験を買う
- ②ご褒美にする
- ③時間を買う
- ④先に払ってあとで消費する
- ⑤他人に投資する
順番に見ていきましょう。
① 経験を買う
──思い出は、あとからも幸せをくれる
モノを買うよりも、「思い出に残る体験」にお金を使うほうが、人は長く幸せを感じることがわかっています。
物質的な買い物は幸せが減少する。経験的な買い物は幸せが増していく
「お金の使い方で、いちばん満足感が高かったことは何ですか?」
そう聞かれてどんなことを思い出しますか?
買った物そのものではなく、買った物の思い出や、誰かと過ごした時間。盛り上がったライブなどが浮かぶのではないでしょうか。
本書では、物よりも“経験”にお金を使ったとき、人はより大きな幸福を感じると伝えています。
たとえば、高級な時計や最新の家電を買ったときには、その瞬間は嬉しくても、だんだんと慣れてしまいます。
一方で、感動したことや、誰かと一緒に行ったレストランでのひとときなどは、時間が経っても心に残り、思い返すたびに気持ちがあたたかくなることがあります。
このように、経験的な買い物は「あとからも幸せをくれる」のです。
自分だけの物語を作る
さらに、経験は「誰と」「どこで」「どんなふうに」が組み合わさってできるため、自分だけの物語になるという特徴もあります。
それが、物にはない価値として、満足感をより深めてくれるのです。
大きなお金を使わなくても、たとえば友達とちょっと遠くのカフェに出かけるとか、家族でピクニックに行くとか、そんな小さな経験でもじゅうぶん。
「いい時間だったな」と思える瞬間が、あとから何度も心を温めてくれます。
② ご褒美にする
──「たまに」が、幸せを大きくしてくれる
何気ない日常に、小さなご褒美を加えることで、幸福感はぐっと高まります。
「慣れ」のマイナス効果
たとえどんなにおいしい食べものでも、毎日食べ続けていたら、だんだんとありがたみを感じにくくなるものです。
これは心理学で「慣れ(順応)」と呼ばれる現象で、人は同じ刺激に何度もふれると、最初の感動が薄れていく傾向があります。
1杯のカフェラテをご褒美にする方法
たとえば、毎朝カフェでカフェラテを買うのが習慣になっていると、最初は「ちょっとした贅沢」だったはずの一杯も、いつのまにか「あたりまえの飲みもの」になってしまいます。
でも、もし普段はドリップコーヒーを飲むようにして、週末だけ“カフェラテ”を楽しむようにしたら……その一杯は、また特別な味に感じられるかもしれません。
このように、お気に入りのものに少し距離を置くことで、感じられる幸せが大きくなります。
「ご褒美にする」ことで、節約にもつながりながら、満足度もアップするという、ちょっとうれしい法則です。
毎日をがんばっている自分に、「ここぞ」というタイミングでそっとプレゼントを。
そんな“たまの贅沢”が、日々の暮らしを支えてくれる小さな幸せになるかもしれません。
③ 時間を買う
──「自由な時間」は、幸せへの投資になる
時間があると感じると、人生の満足度はぐっと上がります。
時間をお金で買うとは?
5円安い卵を買うために、30分かけてスーパーをはしごする。
そんな経験、ありませんか?
もちろん節約は大切なことです。でも、その30分を「自分が幸せになること」に使えたらどうでしょう?
たとえば、家事代行を頼んで自分の休息時間をつくることや、移動を快適にするために少しお金をかけること。
そんなふうにしてできた時間は、ただの“スキマ”ではなく、心に余裕を取り戻すための大事な余白になります。
他人のために時間を使うと、自分の時間が増える?
さらに興味深いのは、他人のために時間を使うことが、自分の“時間の豊かさ”を感じさせてくれるという研究結果です。
ちょっとしたお手伝いや、誰かのための手紙や贈り物。
そうした行動が、心をあたたかくし、忙しさに追われる感覚から少し離れさせてくれるのです。
「自分は、何をしているときに幸せを感じるか?」
その問いに向き合ったとき、次に考えたいのは、「その時間を増やすために、何にお金を使うか?」ということかもしれません。
④ 先に支払って、あとで消費する
──“待つ時間”も、幸せの一部になる
たとえば、旅行の予約をしたとき。
出発の日が近づくにつれて、「あそこに行こう」「何を食べよう」とワクワクしてきた経験はありませんか?
お金は“使う瞬間”だけでなく、“使う前”にも幸せを増やしてくれます。
先払いすると、時間をまるごと楽しめる
支払いを先にすませておくと、そのあとの時間をまるごと“楽しみ”として味わえるようになります。
旅行代金を先に払っておけば、現地では「もう支払いは済んでいる」と思える分、気持ちよく過ごせます。
まるで“無料でサービスを受けている”ような、不思議なお得感さえあるかもしれません(笑)。
未来の自分を幸せにする
さらに、先に支払って、あとから楽しむスタイルは、「遠い未来の自分」を思いやる行為でもあります。
「これは本当に今使うべきか?」と立ち止まって考えることが増え、お金の使い方がより慎重かつ前向きになっていくのです。
この法則は、「お金を使うこと=今すぐ消費すること」と考えてしまいがちな私たちに、新しい視点を与えてくれます。
“先に準備する”ことで、楽しみも、安心感も、ぐっとふくらむ。
そんな時間の使い方は、未来の自分への小さなプレゼントかもしれません。
⑤ 他人に投資する
──“誰かのため”が、自分の心を満たしてくれる
「誰かのため」にお金を使ったとき、人は強く幸福を感じます。
ちょっとした贈り物をしたり、困っている人に寄付したり。
金額の大小に関係なく、「喜ばれること」にお金を使うと、自分の心もぽかぽかしてきます。
他人にお金を使うと心が満たされる
お金は、自分のためだけに使うより、誰かのために使ったときのほうが、より強く幸福感を得られる。
そんなことを聞くと、ちょっと意外に感じるかもしれません。
でも実は、人にプレゼントを贈ったり、誰かのためにちょっとお金を使ったとき、私たちの脳はポジティブな感情で満たされます。
しかも、精神的な幸福感だけでなく、身体的な健康や金銭的な余裕を感じやすくなるという研究結果もあるのです。
「他人にお金を使える自分は、十分に満たされている」と感じることで、“自分は豊かだ”という感覚も生まれてきます。
投資する金額はあまり関係ない
そしてうれしいのは、これは決して高額なお金でなくても良いということ。
金額にかかわらず、たとえば500円の小さな贈り物や、ちょっとしたおやつの差し入れでも、同じような効果が得られるのです。
自分の持っているお金の中から、「ほんの少し」を誰かに手渡すことで、そのお金が何倍にもなって返ってくる──
そんなふうに思える経験は、日々の中に意外とたくさんあるのかもしれません。
5つの使い方実践
これまで見てきた幸せなお金の使い方はこちら。
- ①経験を買う
- ②ご褒美にする
- ③時間を買う
- ④先に払ってあとで消費する
- ⑤他人に投資する
ここまで読んで、「この5つの法則、実際にどう組み合わせたらいいの?」と思った方もいるかもしれません。
そんなときにおすすめしたいのが、たとえばこんな「スタバ体験」です。
5つの法則がぜんぶ詰まった「大切な人とのスタバ体験」
「大切な人とちょっと贅沢な時間を過ごす」
① 経験を買う
大切な人とのおしゃべりタイムは、モノではなく“思い出”になります。
② ご褒美にする
普段は控えている+50円のカスタマイズを「今日だけの贅沢」に。
③ 時間を買う
混雑を避けて空いている時間にゆっくり行く、モバイルオーダーを使うなど、自分の心が休まる時間を使ってみましょう。
④ 先に支払ってあとで消費する
スタバカードやギフト券をチャージしておけば、支払いを気にせず楽しめます。先に予定を決めていれば、それまでの時間も楽しさが継続します。
⑤ 他人に投資する
一緒に行く人の分もおごってみる。喜んでもらえると、自分もうれしい。
このように、お金の使い方をちょっと変えるだけで、同じ「カフェに行く」でも、得られる幸せは何倍にもふくらむのです。
TED:幸せを買う方法(日本語字幕版)
こちらは著者のマイケル・ノートンさんがTEDでお話されていたものです。
字幕版で11分くらいの動画です。
研究結果をわかりやすくまとめてくれています。
「お金で買える幸せ」を増やす
「幸せは、お金では買えない」という言葉はたしかに一理あります。
でも本当は、「幸せに“近づく”ために、お金をどう使うか」が、大事なのかもしれません。
あなたの“満足度の高い買い物”は、どれでしたか?
ここでちょっと、自分のことを振り返ってみましょう。
先月の買い物の中で、「これはいいお金の使い方だったな」と思えるものを、3つ思い出してみてください。
- あのとき買った本
- 久しぶりに行った推しのライブ
- 家族に内緒で買って帰ったケーキ
それらは、今回ご紹介した5つの使い方(経験・ご褒美・時間・先払い・他人への投資)のどれかに当てはまっていませんか?
「ちゃんと幸せを感じられるお金の使い方が、もう自分の中にあった」と気づけたら、それだけでも立派な一歩です。
では、ちょっと後悔した買い物は?
次に、「正直、あまり満足できなかったかも……」という買い物をいくつか思い出してみましょう。
- なんとなく買ってしまったコンビニスイーツ
- 安さにつられてポチったけど使っていないアイテム
- 気をつかって払った外食代(でも気まずかった)
その中に、「もしかしたら、5つの法則に近づけたらよかったかも」というものはありませんか?
- スイーツを“週末だけのご褒美”にしていたら?(②)
- 安さでなく“経験がふくらむ物”を選んでいたら?(①)
- 本当に仲のよい人と時間を過ごすほうが、満足できたかも?(③⑤)
「幸せなお金の使い方」を、育てていこう
それでも「これは失敗だったなぁ……」という買い物も、もちろんあると思います。
でも大切なのは、「失敗を減らすこと」ではなくて、「満足度の高いお金の使い方を少しずつ増やしていくこと」です。
お金の使い方に、絶対的な正解はありません。
でも、「自分にとって気持ちがよかった」「あとから思い返して幸せだった」という感覚は、確かなヒントになります。
これからのお買い物が、もっとあなたらしい幸せにつながっていきますように。
おわりに:お金の使い方を選ぼう
……こんなふうに、お金の使い方を考えたことはなかったな。

スカイさんの「いいお金の使い方」だったなって思えたことはなんでしたか?

そうだな……さっきぽかぽか広場で、アイスを食べて笑ってた子どもらの顔を思い出したよ。

ふふ、それはコタさんもタマさんも喜んでたでしょうね。

ああ。口をべったべたにしながらな。
あの時は何も考えてなかったけど……そうか、あれも“経験”で、“誰かへの投資”だったのかもな。

はい。
お金って、何に使ったかよりも、“どんなふうに使ったか”が大切なのかもしれませんね。

これからは、“どう使うか”を少し意識していきたいと思ったよ。
自分にとっても、大切な人たちにとっても、気持ちよく感じられる使い方を選べたらいいな。

まとめ:お金と、自分にやさしい関係を
ここまで読んでいただいてありがとうございます!
「お金で幸せは買えない」と言われることがあります。
たしかに、幸せのすべてがお金で手に入るわけではありません。
けれど――同じ金額でも、使い方しだいで得られる幸せの大きさは変わる。
それが、本書が伝えてくれる大切な視点です。
お金を「上手に使う」というのは、節約のことだけではなく、
自分の気持ちや、大切な人との時間を大事にできるような使い方を選ぶこと。
そこには、ちょっとしたご褒美や、誰かの笑顔のための選択も含まれています。
今回ご紹介した5つの法則は、どれも特別な知識や高額なお金がなくても、すぐに取り入れられる小さな工夫です。
・大切な人との時間を味わうこと
・自分にちょっとしたご褒美をあげること
・誰かを笑顔にする使い方を選ぶこと
日々の中で、自分なりの“幸せなお金の使い方”を見つけていく。
それが、暮らしの中の安心や満足感を、少しずつ増やしてくれます。
これからも、お金に振り回されるのではなく、お金といっしょに自分を大切にできる関係を育てていきましょう。
必要な本に出会うことで、あなたの人生がぽかぽかになりますように!

次回予告:【ぽかぽかマネー読本】④
投資って、こわくないの?
投資って、なんとなく「ギャンブルっぽい」と思っていませんか?
実は、毎月少しずつ積み立てていく“コツコツ型”の投資なら、
特別な知識がなくても始められる方法があるんです。
4週目は「こわくない投資」の基本や、将来に向けて“お金に働いてもらう”考え方を学びます。
自分と家族の安心のために、「増やす力」とやさしく出会ってみませんか?
▷2025年6月22日(日)9時公開予定
参考文献
『「幸せをお金で買う」5つの授業』, エリザベス・ダン著/マイケル・ノートン著/古川奈々子訳, KADOKAWA, 2014