「わたし」を悩ませていたのは「わたし」だった?! 誰かに助けてもらうんじゃない、自分で自分を助ける方法を教えます!
紹介する本
『わたしが「わたし」を助けに行こう-自分を救う心理学-』橋本翔太著,サンマーク出版,2024
『───これは、わたしが「わたし」を助ける物語だ。』
こんな人にオススメ
・おなじ失敗を何度もくりかえしてしまう
・頑張っているのに、人生がうまくいかない
・自分の力で問題を解決したい
あなたを困らせていたのは、あなたの「ナイトくん」だった?!
「ナイトくん」って誰?
本書では、たびたび「ナイトくん」があらわれます。
「ナイトくん」はあなたの心に住む「もうひとりのあなた」
毎日毎日、ナイト(騎士)のようにあなたの心を守るために働き続けているんです。
そして残念ながらナイトくんがが頑張っているからこそ、問題が起きてしまうことがあります。
例)部屋が片付けられないの原因の「ナイトくん」
部屋が散らかってしまう人っていますよね。私もそのひとりです。
片付けようと思っても、なんとなく億劫になってしまったり。なんとなく先延ばしにしてしまったり。散らかっている部屋が好きなわけでもなく、モデルルームのような部屋に憧れながら何もできないまま数ヶ月、数年……。
それはもしかしたら、ナイトくんが頑張って部屋を片付けさせないようにしているからかもしれません。
「どういうこと?!」「ナイトくんって悪いやつ!」って思ってしまうかもしれませんが、ナイトくんに悪気はないんです。ナイトくんの一番の目的は「あなたの心を守る」こと。部屋が散らかっている状態が、あなたの心を守ることになると信じているんです。
(ナイトくん的思考)
・部屋が片付くと思考がクリアになる
・思考がクリアになると、将来への不安や、人間関係の悩みが表に出てきてしまう
・不安や悩みを感じたら、あなたが傷ついてしまう
・部屋を散らかさなきゃ!
もしくは、
・親が高圧的でいつも「片付けなさい」と言われてきた
・部屋を片付けると親の言いなりになっている気分になる
・誰も自分の言う事を聞いてくれない、自分の意志などないという当時の気持ちを思い出す
・片付けたら、あなたが孤独や不自由さを感じてしまう
・部屋を散らかさなきゃ!
どうでしょう。どうして味方であるはずのナイトくんがあなたを困らせているのかわかってもらえたでしょうか。ナイトくんは間違いなくあなたの味方です。ただ、そのやり方が今のあなたに合わなくなってしまっていることに気づいていないんです。
「部屋を散らかす」だけではなく、「時間を奪う」「お金をたまらなくする」「やる気を奪う」「カッとなって感情が押さえられなくなる」などのいろんなナイトくんが存在します。
うまくいっているときはあなたの心を守ってくれる心強い味方ですが、今やあなたを困らせる存在になってしまっているナイトくん。
このままではあなたもナイトくんも苦しいままです。
ナイトくんに大丈夫だよ、もう頑張らなくていいんだよと伝えてあげましょう。
問題を解決する「ナイトくんワーク」
問題を解決する「ナイトくんワーク」は次の7STEPで行います。
Step1:ナイトくんを見つける
Step2:ナイトくんに名前をつける
Step3:ナイトくんに質問する
Step4:ナイトくんを労い、もうひとりではないことを伝える
Step5:ナイトくんに、自分が大人になったことを伝える
Step6:これからも、隣にいてもらうよう伝える
Step7:またお話しようね、と伝えて対話を終了する
例として、実際に私のなかのナイトくんと対話しながら進んでみます。
実践 ナイトくんワーク
・Step1:ナイトくんを見つける
自分が変えたいと思っていること、心がざわざわすること、嫌な感情があらわれるところにナイトくんはいます。私には「部屋を片付けられない」ナイトくんがいました。
・Step2:ナイトくんに名前をつける
自分と分けて客観性をもたせるために名前をつけます。可能ならば姿形もイメージしてみましょう(名前だけでもOK)。私はナイトくんに「うろうろさん」と名前をつけました。
・Step3:ナイトくんに質問する
私「うろうろさん、どうして(部屋を片付けようとするとめんどうだなと思う)の?」
う「部屋が散らかっているほうが安心するからだよ」
私「うろうろさん、あなたのミッションはなに?」
う「部屋を散らかして他の人が入れないようにすることだよ」
私「うろうろさん、あなたがそのミッションをやめたら私はどうなってしまうと思っているの?」
う「他の人が入ってきて、きっと嫌な思いをするよ」
と、うろうろさんと話しているうち、子どものころに部屋に入ってきた祖母に、自分の趣味を見られて嫌な思いをしたことを思い出しました。散らかっている部屋には人は入りたがらないし、散らかっているから、と部屋に誰かが来るのを拒む言い訳にすることができます。だからうろうろさんは部屋が散らかっている状態になるように頑張っているみたいでした。
・Step4:ナイトくんを労い、もうひとりではないことを伝える
私「うろうろさん、今まで私が嫌な思いをしないように頑張ってくれてありがとう。でも、今は私の趣味を笑ったりする人は周りにいないから大丈夫だよ」
う「ほんとうに大丈夫かな」
私「友達を部屋でおもてなしできるようになりたいんだ」
う「そっか、じゃあしかたないね」
・Step5:ナイトくんに、自分が大人になったことを伝える
ナイトくんの多くは子どもの頃に生まれているため、あなたがもう大人になっていることに気づいていません。辛かったあの頃から時間が経っていることを伝えます。
私「私はもう30歳すぎたんだよ。同じ趣味の友達もいるし、楽しくすごしているよ」
う「そっか、大人になったんだね」
Step6:これからも、隣にいてもらうよう伝える
ナイトくんは心配性なため、大丈夫と伝えてもまだ心配しています。急にもういいよ、と言っても戸惑ってしまうので、そばで見守っていてね、と伝えます。
私「今までありがとう。もうそんなに頑張らなくていいから、これからは隣で見守っていてくれる?」
う「わかったよ。そばで見守っているね」
Step7:またお話しようね、と伝えて対話を終了する
私「じゃあまたお話しようね」
う「うん、またね」
これでナイトくんワークは終了です。なんとなくイメージがつかめたでしょうか。ナイトくんワークは一度で終わりではなく、心配性でまだ頑張ろうとするナイトくんと何度かお話をしながら問題解決に向かいます。
『わたしが「わたし」を助けにいこう』では、様々なナイトくんを取り扱い、著者のカウンセリング事例が掲載されています。
終わりに
『わたしが「わたし」を助けにいこう』を読んだとき、駄目だとわかっているのに動き出せなかったり、そんなに大したことではないのにもやもやしてしまう出来事があったときの心の動きがわかったような気がしました。
著者が「ナイトくん」という「わたし」の一部だけれど、「わたし」の意識とは別のことろで働いているものを具体化してくれたことで、意識することができました。例で上げた祖母のこともすっかり忘れていたので、これが原因だったのか! と驚きました。
あなたも、あなたのナイトくんをさがしてみてください。
もう大丈夫だよ、と伝えてあげれば、ナイトくんは頼もしい味方に戻ってくれるはずです。
あなたに必要な本と出会うことで、あなたの人生がぽかぽかで居心地のいいものになりますように。
ここまで読んでいただいてありがとうございました!
参考文献:
『わたしが「わたし」を助けに行こう-自分を救う心理学-』橋本翔太著,サンマーク出版,2024